THE ALFEE(ジ・アルフィー)/ 1973年、明治学院大学キャンパスで出会い、グループを結成。74年、「夏しぐれ」でデビュー。83年、「メリーアン」が大ヒット。以降、現在に至るまで日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。10月6日、サンシティ越谷市民ホールを皮切りにTHE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World「秋の天地創造」、Final「冬の天地創造」ツアーを開催予定。(PHOTO/木村哲夫 HAIR&MAKE/野原ゆかり COSTUME/中村秋美)
坂崎:だからフォークグループじゃないんです。メロディー、詞、ハーモニーなど、根底にあるものはアコースティックギター一本でもハードロックでも一緒です。
桜井:アコースティックだ、ロックだ、っていうのは日本くらいのものなんですよ。ハードロックバンドでもバラードを歌うし。
坂崎:むしろ向こう(洋楽)のハードロックバンドはアコースティックな曲が多い。
桜井:多いね。
高見沢 そうだよな。「ミスタービッグ」も。
坂崎 「エクストリーム」も。だからそこはあんまり……。
高見沢 そう、関係ない。
坂崎 高見沢が生ギターにエフェクターを繋いでいたら、編曲家の井上鑑さんが「だったらエレキギター弾けばいいじゃん」って。
高見沢 あ、そうですよねって(笑)。
──ハードロックを取り入れた「メリーアン」にも、間奏は坂崎のアコースティックギターによるソロが入り、それから高見沢の歪んだエレキギターのソロが続く。その理由は。
高見沢:坂崎のギターがアコギだから(笑)。
桜井:3人しかいないんですから!
坂崎:自然に(笑)。
高見沢:あとプログレが好きだから。プログレには必ずアコギが入っていますから。「イエス」とか。そういう部分を残したい。それがアルフィーサウンドのひとつの要なのかもしれない。原点でしょう。
桜井:そうだよね。
高見沢:桜井たちが高校のときに(グループを)作って「サイモン&ガーファンクル」で優勝していますから。そこはね、やっぱり守るわけじゃないけど原点っていうのはよくわかっていますね。アコギの音が好きで優先する。そこがほかのロックバンドと違うのかな。
坂崎:アルフィーはアイドルでもなく歌謡曲でもなくロックでもない。アルフィーって何だ?って、自分たちでもそういう感じですから。(マスコミの)みなさん、困ってらっしゃいますね。「3人組バンド」とか、「3人トリオ」とか(笑)。「ロックバンド」って書かれることもありますけど。
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THE ALFEE(ジ・アルフィー)/ 1973年、明治学院大学キャンパスで出会い、グループを結成。74年、「夏しぐれ」でデビュー。83年、「メリーアン」が大ヒット。以降、現在に至るまで日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。10月6日、サンシティ越谷市民ホールを皮切りにTHE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World「秋の天地創造」、Final「冬の天地創造」ツアーを開催予定。(PHOTO/木村哲夫 HAIR&MAKE/野原ゆかり COSTUME/中村秋美)
桜井:けっして無理にではなく、日々(高見沢が)聴かせるんですよ。だんだん知らないうちに踊らされている自分がいて。完全にハマったなと思った頃にはヘビーメタルのような歌を歌わされて(笑)。衣装まで、そっち(ハードロック系)になって。「メリーアン」から「星空のディスタンス」、次の「STARSHIP‐光を求めて‐」あたりまで。全部、高見沢の影響なんですけど。
高見沢:ジューダス・プリーストとか?(笑)
桜井:音楽番組であんな格好をしたのは俺だけですよね。テレビに出てもいろいろ言われましたから。やっと認めてもらえたのは(ヘビーメタルバンドの)「聖飢魔II」が出てきてからですよ。それまでは寂しかったですね。
――「メリーアン」発売の1年前。1982年のアルフィーは、北海道から福岡まで大規模な全国ツアーを開催。3月30日から4月1日までの3日間は久保講堂(東京)でライブをおこなった。それぞれが好きなことを披露するコーナーが設けられ、初日は高見沢dayだった。
坂崎 「レッド・ツェッペリン」をやりましたね。
高見沢 「天国への階段」「Rockn’ Roll」「Black Dog」「移民の歌」とか。
坂崎 その日のお客さんは若干引いていた(笑)。
高見沢 初めて聴いた音だっただろうからなぁ。
――ハードなサウンドがアルフィーの音楽の一部であることをファンには提示していた。
坂崎 だから、僕らにとってハードロックに移行することに対しては、そんなにみなさんが思うほどでは……。
高見沢 方向転換ってほどではないですね。
――アルフィーはこの年の8月、初の野外イベントとなる所沢航空記念公園でライブをおこない5千人の観客を集めた。着実に動員を増やしていたアルフィーの人気は右肩上がりで、あとはシングルヒットが出れば大ブレイク間違いなしという状態だった。勢いは加速する。この年、アルフィーは初の日本武道館公演を行うことを発表した。
坂崎 バンドのサウンドが少しずつハードになってバンド自体のスケールも大きくなってきて、いよいよ日本武道館公演と。83年3月にシングル「暁のパラダイス・ロード」を出して、大ヒットさせて8月に武道館、という予定だったんだけど。大ヒットしなかった(笑)
高見沢 予定通りにはいかないよね。ライブでの勢いはありました。なぜ、観客が熱狂するのかはわからなかったけど。
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──初の日本武道館公演を目前に控えた1983年6月。アルフィーは16枚目となるシングル「メリーアン」をリリースする。「アルバム用に作られた曲」(高見沢)だったが、レコード会社の担当ディレクターがシングルに選んだ。
桜井:ヒットするとは思わなかった。
高見沢:思わない、思わない。思わないよ。
坂崎:6月に発売して「ザ・ベストテン」(TBS系)などに出始めたのが9月の頭ですね。ヒットするまで時間がかかったんです。
桜井 ベストテン番組って、出たくっても出られない。嬉しいことに応援してくれる人がいるから、出ないってわけにもいかないけど、ツアーがあるからスタジオに行けずに、コンサート会場からの中継が多かったんですよね。
坂崎 ベストテンって、トータルの評価ですから。
桜井 売り上げだけじゃなくてね。
坂崎 レコードは売り上げより、リクエストが多かったんですよ(笑)。出てくれっていう。それはやっぱり出ないわけにはいかないし。
桜井:武道館公演が終わったあとにヒットしたから「メリーアン」を知らない人たちが武道館のチケットを持っていて、「メリーアン」で知った人たちはもう武道館に入れなかった。
──初の武道館公演には、古くからのアルフィーファンも度肝を抜かれたことだろう。ステージにはマーシャルアンプのキャビネットが高く積まれ、グループ初となるプロモーションビデオが来場客に配布された。その大事な一曲となったのが「ジェネレーション・ダイナマイト」である。同年9月発売の7thアルバム「ALFEE’S LAW」のオープニング曲を飾る超絶ヘビーなメタルナンバーだ。
高見沢:この曲をアルバムの1曲目にもってくるかどうかが分岐点ですよね。今までのイメージを払拭するようなものにしようということで。レコード会社と侃侃諤諤ありましたね。
坂崎:アルバムの1曲目はアルバムの色を決定づけますからね。プロモーションビデオもハードロックでした。
桜井:炎が燃え上がる(笑)。
坂崎:僕らは楽しんで面白がってやっていましたよ。これはフォークグループじゃできないでしょう(笑)。
桜井:できないね。
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THE ALFEE2024/12/31/ 19:00
10 月 5 日、通算 71 枚目となる Double A Side Single「星空の Ceremony / Circle of Seasons」発売予定。10 月 6 日 、サンシティ越谷市民ホールを皮切りに THE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World「秋の天地創造」、Final「冬の天地創造」ツアーを開催予定。
高見沢:アルフィーの魅力は3人が歌える。それによって3声のコーラスができる。これがあれば、フォーク、ポップス、ハードロックでもなんでもいいんです。3人の声があればアルフィーなので。
──「アルフィーは○○バンドです」とつけるなら?
高見沢:アルフィーはアルフィー。じゃない?
──10月5日、71枚目となるシングル「星空のCeremony/Circle of Seasons」を発売する。
高見沢:ここのところ、バラードやミディアムテンポの曲が多かったので、ちょっとハードなものを出してみようかなと。「星空のディスタンス」のアンサーソングじゃないけど、遠距離恋愛のつらさを、星を使って意図的に入れました。コロナの影響もありますね。会えないっていうことがありますからね、今の時代。
桜井:今回は両A面で。
坂崎:もうA面、B面ってないけど(笑)。
桜井:両方とも自信作です。高見沢節がいっぱい入っていますので、なじみやすいと思います。
坂崎:まだアルフィーに出会っていない方も、ぜひこれを聴いて、ライブに来ていただければと思います。
(取材・構成/谷口由記)
※週刊朝日 2022年10月7日号に大幅加筆