【ロサンゼルス=冨山優介】米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で7日に相次いで発生した山火事は、乾燥した空気と強風によって急速に広がり、多くの住民は準備が不十分なまま避難を余儀なくされた。同州では山火事が頻発しており、地球温暖化の影響も指摘されている。
火災で燃える家(8日、米カリフォルニア州アルタデナで)=AP
山火事はロサンゼルスの西にあるパシフィック・パリセーズ、北のアルタデナ、シルマーで発生し、さらに8日には北のハリウッド付近でも火が出た。地元メディアなどによると、避難指示が急に出されたことから、車を乗り捨てて脱出する住民もいたという。
8日、米ロサンゼルスで、山腹から住宅街に燃え広がる炎=AP
パシフィック・パリセーズの図書館で働くオスカー・パレンシアさん(48)は、ロサンゼルス市内に開設された避難所で取材に応じ、「道路が封鎖されて車も使えなくなった。職場から1時間近く歩いて、何とか安全な場所までたどり着いた」と振り返った。
パレンシアさんは空を覆う黒い煙を見て、即座に避難を判断したという。「家は、図書館は無事なのだろうか」と不安な表情を見せた。
無職のビクトリア・ルイスさん(79)はパシフィック・パリセーズの近隣に住み、7日夜に携帯電話へ避難を促すエリアメッセージが届いたことから、息子のマイケルさん(38)とともに脱出した。ルイスさんは「長く住んだ場所だったが、山火事で家を追われるとは思ってもいなかった。いつ戻れるのだろうか」と肩を落とした。
【地図】ロサンゼルス近郊の山火事発生地
一連の山火事の被害がこれほど大きくなったのは、空気が乾燥した状態が長く続いたことも要因として考えられている。カリフォルニア州は現在、雨期にもかかわらず、州南部で約8か月、異常な乾燥が続き、ロサンゼルスで一定の降雨があったのは昨年5月が最後だった。
米NBCニュースは、地球温暖化によって降雨のパターンが変化し、深刻な干ばつが生じることで、今回のような山火事の脅威に人々の命はさらされ続ける、とするカリフォルニア大サンタバーバラ校の専門家の見方を紹介している。