ロスの火災、海水温度上昇と関連か-今後はもっと頻繁になると研究者

南カリフォルニアの住民にとって、冬は森林火災の心配が無用な安心の季節だ。しかし今年の冬は炎に包まれている。

例年なら1月は雨季の真っ最中だが、今年はロサンゼルス近郊に高気圧の尾根が居座り、何カ月にもわたって湿った空気を遮断している。そして現在は強風が炎をあおり、8日午後までに2万6000エーカー(約105平方キロメートル)余りが焼失。住民10万人余りが避難を余儀なくされている。時速100マイル(秒速約44メートル)に達する強風は、ほぼ今週いっぱいは続く見通しで、降雨の気配はない。

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ロサンゼルス西部パシフィックパリセーズ地区で消火活動に当たる消防士(1月7日)

昨秋は東海岸北部でも高気圧が長期化。ニューヨーク市では降雨ゼロの日々が続き、同市ではめずらしい林野火災が数百件発生した。カリフォルニア州では高気圧の尾根が異常に長く続いている。

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これは偶然ではないかもしれない。研究者らによれば、秋冬の乾燥天候が長期化するのは海洋の温暖化と関連している可能性が高い。海水の温度上昇はジェット気流を本来の軌道から外し、高気圧の尾根が居座る原因になる。地球の温暖化が自然災害を引き起こす一例だ。

「海洋の熱波は普通なら数カ月続くものであり、それに伴う天候が同様に続くことは驚きではない」と、ウッドウェル気候研究センターのシニアサイエンティスト、ジェニファー・フランシス氏は話す。「こうした海洋の熱波は強さも規模も増してきている。人間が排出する温室効果ガスで熱が閉じ込められるからだ。従ってこうした異常天候の長期化は今後、あまり珍しくなくなるだろう」と述べた。

カリフォルニア州では例年秋に始まる雨季が、今年は来なかった。州の北部では豪雨が繰り返されたものの、高気圧に阻まれて南下せず、ロサンゼルスでは4月以降、まとまった雨が降っていない。

しかし住民が懸念する気象現象である「サンタ・アナの風」は例年通りに到来し、内陸部の空気を山越えさせ、沿岸に向けて暖かく乾燥した風を吹き付けた。水分が不足した丘陵地帯では火の粉が落下した枯れ木や低木が格好の火付け材となり、風に乗って炎の連鎖が広がった。

「例年ならこの時期に強い風が吹くと、風害のリスクがあるだけだ」と、ウィスコンシン大学マディソン校のジェイソン・オトキン准教授は話す。「しかし今回は非常に乾燥した植生により、爆発的な火災の拡大につながる可能性がある」と述べた。

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米国立気象局(NWS)はカリフォルニア州中部海岸から米国・メキシコ国境までの地域に対し、火災のリスク上昇を警告するレッドフラッグ警報を発令した。ビバリーヒルズ、ハリウッドヒルズ、マリブ、人口密集地サンフェルナンドバレーを、警報の最も深刻なレベルを示す「特に危険な状況」の対象に指定した。

原題:Los Angeles Fires and Winter Drought Likely Linked to Ocean Heat(抜粋)

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