千葉ロッテマリーンズ・小島和哉投手(左)鈴木昭汰投手(右)【写真:球団提供】
2024シーズンは71勝66敗6分、勝率.518の3位で終え、2年連続のAクラス入りを果たした千葉ロッテ。本記事では投手編、野手編に分け、千葉ロッテの2024シーズンを振り返る。
今季は小島和哉投手、種市篤暉投手が規定投球回に到達。メルセデス投手、西野勇士投手、佐々木朗希投手も100イニング以上を投げるなど、先発の運用にはさほど困らなかった1年と言えるだろう。
一方のリリーフは、4年目の鈴木昭汰投手が51試合で防御率0.73と大ブレイク。6年連続で50試合以上に登板していた益田直也投手は44試合登板に終わったが、横山陸人投手、国吉佑樹投手がそれぞれ40試合以上の登板で防御率1点台を記録した。結果的には2年連続でリーグ5位の防御率3.17に終わったが、昨季よりは改善している。
小島投手は4年連続で規定投球回に到達。今季は4月と9月に4試合で防御率1点台と好投も、6月は4試合で防御率10.80と好不調の波があった1年だった。結果的には25試合の登板でチームトップの12勝をマーク。自己最多の163.1回を投げ、16QSとエースとしての役割を果たした。
昨季は自身初の2桁勝利をマークし、トミー・ジョン手術からの復帰を果たした種市投手。今季は4月に4試合で防御率6.75と苦しんだが、5月は22日に4年ぶりの完投勝利を記録するなど、防御率0.90と持ち直す。 続く6月は防御率1.88、8月も防御率1.50と好投したが、なかなか白星は伸びず。結果的には23試合で7勝8敗と2年連続の2桁勝利はならなかったが、147.1回を投げ、自身初の規定投球回に到達。2度の完投も記録し、先発の柱としてチームを支えた。
昨季先発に再転向して8勝を挙げた西野投手は、今季も先発として活躍。13QSのうち、6度がHQSと多くの試合で役割を全うした。結果的には、20試合で122.1回、防御率3.24の成績。昨季と同じく間隔を空けながらの登板が多くなったが、2013年以来の9勝を記録するなど、申し分ない成績を残した。なかでも埼玉西武戦は4試合で4勝、防御率0.98と快投を続けた。
移籍2年目の
メルセデス
投手は、6月末時点で12試合に登板し、防御率1.89の好成績をマーク。しかし7月は防御率4.50、8月は防御率3.80と崩れ、9月は1試合の登板に終わった。それでも、21試合でキャリアハイの126.1回を投げ、4勝8敗、防御率2.71の成績。昨季45%だったQS率も、今季は61.9%と改善された。
佐々木朗希
投手は前半戦9試合で5勝を挙げたが、6月13日に右上肢のコンディション不良で抹消された。しかし、8月1日に一軍で実戦復帰を果たすと、以降9試合で5勝をマーク。シーズン最終登板となった10月1日の東北楽天戦では、9回5安打無四死球10奪三振1失点の快投を見せ、チームをAクラスに導いた。
上記の先発ローテーション5投手に続いたのは、35歳以上のベテラン3投手だった。
唐川侑己
投手は、今季初登板となった4月16日に6回1安打無四死球7奪三振1失点の好投も、翌日に登録抹消。約1カ月後に二軍で実戦復帰、7月27日に一軍登板を果たすと、以降は一軍で登板を続けた。結果的には8試合うち6試合の先発で3勝2敗、防御率2.37と、要所で存在感を示した。
石川歩
投手は昨季、故障の影響でキャリア初の一軍登板なしに終わり、オフに育成契約を結んだ。背番号「122」で迎えた今季は、開幕から二軍戦で好投。8試合で防御率1.08の成績を残し、6月24日に支配下復帰。2年ぶりの一軍登板となった同30日の試合で、669日ぶりの白星を挙げた。結果的には5試合で3勝1敗、防御率3.70の成績でシーズンを終えている。
2015年にはサイ・ヤング賞を受賞、MLB通算103勝の実績を誇る、36歳左腕・カイケル投手は7月30日に入団。8月は3試合で防御率2.12の好成績を残したが、9月以降は打ち込まれ、結果的には8試合で2勝4敗、防御率3.60の成績に終わった。
今季の千葉ロッテでブレイクを果たした投手は、この2人だろう。
2020年ドラフト1位の
鈴木昭汰
投手は、昨季終盤に中継ぎとして存在感を示すと、今季は開幕一軍入りを果たす。4月17日にはプロ初セーブをマークするなど快投を続け、開幕から27試合連続自責点0をマーク。自身初のオールスター出場も果たした。
チームトップの51試合登板で2勝2敗、27ホールド5セーブ、防御率0.73、自責点が付いた試合は3試合と抜群の安定感を披露。シーズンオフには第3回プレミア12の日本代表にも選出されるなど、飛躍の1年を過ごした。
高卒5年目の横山投手は、初の開幕一軍入りを果たし、自己最多の43試合に登板。4月24日に登録を抹消されたが、6月5日の試合で一軍に復帰し、以降は一軍でシーズンを完走。最終的には3勝1敗18ホールド3セーブ、防御率1.71の好成績を残した。オフには鈴木昭投手と同じく、日本代表に選出されている。
移籍4年目の
国吉佑樹投手は、一軍で開幕を迎えた。4月は7試合で防御率1.29の好成績をマーク。5月は8試合で防御率3.52と苦しんだが、交流戦に入ると状態が向上。交流戦以降は9月17日に2失点を喫するまで無失点投球を続け、球団新記録となる24試合連続無失点をマークした。
益田投手は3月31日、4月3日と2試合連続でセーブに失敗し、4月4日に登録を抹消。二軍調整を経て同20日に再登録されると、万全な状態ではない中で守護神として登板を続け、結果的には44試合で1勝4敗、6ホールド25セーブ(3位)でシーズンを終えた。
リリーフ陣では他にも
坂本光士郎投手が37試合、岩下大輝投手、澤田圭佑投手が21試合に登板。2022年ドラフト1位の菊地吏玖投手も8月以降は登板機会を増やし、計20試合に登板した。また、昨季右ひじ手術を受けた小野郁投手もシーズン最終盤に復帰を果たしている。
先発では高卒2年目の田中晴也投手が、4試合で防御率1.80の成績。高卒4年目の中森俊介投手も5試合中4試合に先発し、一定の成績を残した。
来季は佐々木投手がポスティング移籍によりチームを離れるほか、2年続けて先発として活躍したメルセデス投手が契約保留者名簿から外れており、200イニング以上の穴が開く。これをチャンスに変える投手が出てくるかどうか。来季のオープン戦では、熾烈な先発ローテーション争いが見られそうだ。
文・東海林諒平
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