大会新記録で優勝を決めた青学大アンカーの小河原陽琉(3日、東京・大手町の読売新聞社前で)=高橋美帆撮影
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)は3日、復路のレースが行われ、往路を制した 青学大 が盤石の走りで2年連続8度目の総合優勝を果たした。記録は10時間41分19秒で昨年の青学大の記録を6秒上回る大会新記録だった。青学大は6区の 野村昭夢 (4年)が区間新の快走を見せ、後続を引き離すと、8区、10区でも区間賞を獲得するなど安定感抜群で、箱根・芦ノ湖から東京・大手町までの109・6キロを先頭で走り続けた。レースの模様を、早大OBで箱根駅伝4年連続区間賞の武井隆次さんの解説とともに詳報する。(デジタル編集部)(→出場校一覧は こちら 、→各区のエントリー選手一覧は こちら )(→ひとめでわかる順位動くグラフは こちら )
連覇の青学大・原晋監督「大学同士のメソッド対決に」…自らは「原メソッド作り上げた」
10区
武井隆次さん解説…青学大の強さは「経験のリレー」
青山学院大の強さは、昨年活躍した選手がメンバーに残ってその経験を1年後に伝え、生かしているところ。1区、7区など所々に弱さもあったが、それが目立たなかった。(詳しくは こちら )
青学大の1年生も快走
青学大の 小河原陽琉 (1年)は安定した走りで先頭でゴールテープを切った。小河原は1時間8分27秒で区間賞を獲得した。2位は 駒大 で、青学大とは2分48秒差の10時間44分7秒。駒大の復路のタイムは5時間20分50秒で、青学大を28秒上回り復路新記録で復路優勝を果たした。
3位は 国学院大 が 早大 との競り合いを制した。5位は 中大 、6位は 城西大 、7位 創価大 。激しいシード権争いを演じた8位グループでは、 東京国際大 が8位に。9位 東洋大 、10位 帝京大 。順大は帝京大と7秒差でシード落ちした。東洋大は20年連続でシード権を守った。(→詳細は こちら )
10区を力走する青学大・小河原陽琉(3日)=武藤要撮影
13キロ地点、青学大が独走
新八ツ山橋の13・3キロ地点を青学大の 小河原陽琉 (1年)と駒大の 小山翔也 (2年)が通過。その差は2分56秒と、また開いた。青学大の1年生が危なげない走りを見せている。3位で早大と国学院大が並走。5位創価大。6位中大、7位城西大。8位で東洋大と帝京大、東京国際大、順大が集団で通過。このうち1チームはシード権を取れない。12位の日体大は40秒差で追っている。
武井隆次さん解説…2区19位だった東洋大、すごい精神力
最終 10区 に入り、8位集団で帝京大、順天堂大、東洋大、東京国際大の4校が集団になった。シード圏外に振り落とされるのは1校だけ。東洋大は 8区のランナー が横浜駅前で非常に苦しそうな表情を見せていたが、そこから脱落せずに最終区まで踏ん張っている。往路では主力が故障で欠場になるなど2区19位からシード圏内に巻き返した。すごい精神力だ。
青学大、順調な滑り出し
蒲田の5・9キロ地点、青学大の 小河原陽琉 (1年)と駒大の 小山翔也 (2年)が通過。その差は、2分44秒にやや開いている。 早大 、 国学院大 が並走し通過。5位は 創価大 。 中大 、 城西大 が続き、 帝京大 、 順大 、 東洋大 、 東京国際大 が8位グループ。37秒差で12位の 日体大 が追っている。シード権争いは 混沌(こんとん) としいる。
9区
青学大、2分21秒差で最終10区へ
終盤にペースを上げた青学大・ 田中悠登 (4年)が笑顔でたすきリレー。2位の 駒大 は2分21秒遅れ。差は24秒、広がった。3位は、一時は遅れた 早大 。ほぼ並んで 国学院大 も鶴見中継所でたすきリレーした。5位の 創価大 もたすきをつないだ。6位 中大 、7位 城西大 。8位 東洋 、9位 帝京 、10位 順大 が相次いでたすきをつないだ。11位は 東京国際大 で22秒差、10位と26秒差で 日体大 が続いた。8位東洋大から12位の日体大まで37秒差と、シード権争いは激しさを増している。山梨学院大、大東文化大、日大が繰り上げスタートとなった。(→詳細は こちら )
戸塚中継所でたすきをつなぐ青学大8区の塩出翔太(左)と9区の田中悠登(3日)=鈴木竜三撮影
日体大が18キロ過ぎ、シード権圏外の11位に
18キロ過ぎ、8位の帝京大を追う9位グループから日体大が遅れ始めた。11位とシード権圏外に落ちている。
横浜駅前、青学と駒大の差は変わらず
横浜駅前の14・7キロ地点を先頭の青学大・田中悠登(4年)が笑顔で通過。駒大・村上響(2年)は1分49秒差で通過した。権太坂から1秒、遅れた。国学院大が3位に浮上。続いて早大、創価大が通過した。
13キロ過ぎでは、順大、日体大、東洋大の8位集団に帝京大・小林大晟(4年)が追いつき、前に出た。横浜駅前で、12位の東京国際大は8位集団と53秒差がついている。
武井隆次さん解説…「シード校の厚い壁」
来年に向けたシード権獲得争いも激しい。やはり「シード校の厚い壁」がある印象だ。戸塚中継所時点で、10位以内を走っている予選会突破校では中央大と日本体育大と順天堂大の3校。中央大は昨年の大会で選手の集団体調不良が影響してのシード落ちという事情もあり、それを勘案すれば予選会からのシード権獲得が難しいことがわかる。ただ、ボーダーライン付近のタイム差も詰まっており、帝京大、東京国際大、立教大、中央学院大まではまだまだチャンスがある。(→詳細は こちら )
8区を力走する青学大・塩出翔太(3日)=武藤要撮影
駒大の村上が青学大追う
権太坂の7・7キロ地点、首位の青学大・田中悠登(4年)が軽快な走りで通過。2位の駒大・村上響(2年)は1分48秒差で追う。8秒、差を詰めている。早大、国学院大、創価大、中大、城西大の順で通過。8位で順大、日体大、東洋大が並走している。11位の帝京大とは26秒差。さらに45秒遅れて、12位の東京国際大が追っている。
8区
武井隆次さん解説…青学大の優位、動かず
青山学院大と駒沢大の差は戸塚中継所の1分40秒から戸塚中継所でも1分56秒と縮まらなかった。残るは2区間、優勝を狙うチームは万全の選手を配置しているが、長い区間なので何が起きるかはわからない。心理面でみた時に、優勝したことのない学校ならプレッシャーがかかるところだが、連覇を狙う青山学院大とあれば、その心配もなさそうだ。想定外のトラブルがない限りは、優位は動かない。
7区を力走する青学大・白石光星(3日)=武藤要撮影
青学大・塩出が首位堅持
青学大の塩出翔太(3年)が安定した走りでトップでたすきリレー。2位駒大は1分56秒差と、16秒差を広げられてたすきをつないだ。早大が3位。4位国学院大と5位創価大は並ぶようにたすきリレー。国学院大の佐藤快成(4年)は意地の走りで順位を2つ上げた。中央大が6位に転落。7位城西大、8位順大、9位日体大と10位東洋大は並ぶようにたすきリレー。東洋大の網本佳悟(3年)は12位からシード権内に順位を上げる力走を見せた。11位の帝京大は10位の東洋大と23秒差。21番目の日大は、首位から20分がたっても、たすきリレーできず、無念の繰り上げスタートとなった。(→詳細は こちら )
駒大、青学大との差を詰められず
遊行寺坂の15・6キロ地点を先頭の青学大・ 塩出翔太 (3年)が通過。駒大の 安原海晴 (2年)は1分48秒遅れて通過した。平塚中継所から8秒、差が開いた。早大が3位浮上し中大が4位。シード権争いは、10位の日体大を12位だった東洋大と帝京大が11秒差で追っている。東洋大の 網本佳悟 (3年)はここまで全選手中トップのタイムをマークしている。その後、17キロ付近で、網本が10位に、さらに9位に浮上した。
青学大と駒大の差、1分50秒
茅ケ崎の6・9ロ地点を首位の青学大・塩出翔太(3年)が通過。続いて1分50秒差で駒大の安原海晴(2年)が通過した。その差はスタート時から10秒開いた。3位以下は中大、早大、創価大、国学院大、城西大、順大、東京国際大。10位は日体大。11位は帝京大と東洋大でその差は10秒。さらに37秒差で立大が続いている。各校が激しく10位以内に与えられるシード権を争っている。
7区
武井隆次さん解説…駒大・佐藤、不安の中でも別格の快走
佐藤圭汰は序盤は中央大との並走で、あまり前に出ていないような印象があったが、振り切ってからの単独走は見事。さすがにポテンシャルが違うなという印象だ。試合感覚が戻っていない中での久しぶりのレースには不安もあっただろう。トラックなら周囲に他の選手もいるが、ロードで単独走となれば、試合感覚が重要になる。(→詳細は こちら )
たすきをつなぐ駒大6区の伊藤蒼唯(左)と7区の佐藤圭汰(3日)=佐々木紀明撮影
駒大・佐藤が区間新、青学大と1分40秒差に
平塚中継所で青学大の白石光星(4年)がトップで塩出翔太(3年)に、苦しそうな表情でたすきリレー。つないだ後は倒れ込んだ。駒大の佐藤圭汰(3年)は最後もスパートをして、1時間43秒の区間新でたすきリレー。青学大との差は1分40秒となり、小田原中継所から2分27秒も縮めた。3位は中大で首位と3分46秒差。4位早大以下は、創価大、国学院大、城西大、順大、東京国際大。10位は日体大が浮上し、11位帝京大との差はわずか9秒。さらに5秒差で東洋大が続く。小田原中継所で8位だった立教大が13位に落ちた。(→詳細は こちら )(→珍しい「たすき落下」は こちら )(→佐藤圭汰のコメントは こちら )
駒大・佐藤の快走続く、青学と2分差に
18・3キロ地点の大磯を青学大の白石光星(4年)が堅実な走りで通過。2位の駒沢大・佐藤圭汰(3年)は2分2秒差で通過した。この7キロほどで、1分以上、差を詰めた。小田原中継所では14位だった日体大が10位に浮上し、シード権圏内に入った。
武井隆次さん解説…「恥骨」のけが、「厚底」も一因か
7区の注目、駒沢大・佐藤圭汰(3年)は恥骨の故障から復帰してのレースだ。恥骨は、私が現役時代にはそれほどポピュラーな故障ではなかった。近年はカーボンプレート入りのシューズが登場し、反発力で前への大きな推進力が得られるようになったことで歩幅が強制的に広げられている。そうしたことも影響しているのではないか。昔は自分で蹴って前に進んでいたので、アキレス腱の故障が多かったように思う。(→詳細は こちら )
駒大・佐藤が懸命にトップを追う
11・6キロの二宮を青学大の白石光星(4年)が通過。2位は小田原中継所から順位を上げた駒大の佐藤圭汰(3年)でその差は3分16秒。51秒、差を詰めた。3位は2位だった中大で首位と3分35秒差。中大も14秒差を縮めた。シード権争いは激しさを増し、8位東京国際大と順大、10位立大と東洋大、12位の帝京大までの5チームが38秒差でひしめいている。(→詳細は こちら )
駒大・佐藤圭汰が2位浮上
10キロ付近、青学大の白石光星(4年)が軽快に走っている。給水も問題なく終えた。7キロ付近では、順天堂大、立大、東京国際大など4チームが8位争いを演じている。10位以内に与えられるシード権争いも激しくなっている。
4キロ過ぎ、駒大のエース格・佐藤圭汰(3年)が2位の中大・岡田開成(1年)を捉えた。
6区でトップを走る青学大・野村昭夢(3日)=武藤要撮影
6区
武井隆次さん解説…青学・野村、最初の上りから勢い
青山学院大の野村昭夢は芦ノ湖をスタートして最初の上りから走りに勢いがあった。下り坂では脚に相当の負担がかかり、箱根湯本駅まで下りてきて勾配が緩やかになる小田原中継所までの最後の3キロは、上っているような感覚にさえ襲われて脚が動かなくなるものだ。6区を走った翌日は、トイレで座ることができなくなるという話も聞いた。野村は多少のきつさは見せていたが、最後までしっかりと脚が動いていた。(→詳細は こちら )
初の56分台
青学大の野村昭夢(4年)が見事な走りで後続を引き離し、笑顔でたすきリレー。区間記録を上回る56分47秒で6区を走り切った。従来の記録を29秒上回り、初めて57分を切った。2位中大は3分49秒差でたすきリレー。スタート時より2分2秒開いた。駒大の伊藤蒼唯(3年)が3位。2位中大には18秒差に迫ったが、首位青学大とは4分8秒に開いている。4位早大。5位創価大、6位城西大。国学院大は7位でトップとは8分19秒差。シード権争いは激しく、9位東洋大、10位東京国際大、11位順天堂大など。(→詳細は こちら )(→野村昭夢のコメントは こちら )
6区でトップを走る青学大・野村昭夢選手(3日)=武藤要撮影
青学大・野村が区間新ペース
17・0キロの函嶺洞門を選手が通過。青学大の野村昭夢(4年)は区間記録ペースで軽やかに走っている。2位は3分38秒差の中大。3位の駒大と早大は4分1秒差。
駒大が3位浮上
大平大の13・4キロ地点を選手が通過。トップの青学大、2位中大に続き、駒大の伊藤蒼唯(3年)が通過した。早大を抜き3位に浮上している。トップとの差は3分41秒。青学大との差はやや広がっている。5位創価大。6位は国学院大を抜いた城西大。8位立大、9位東洋大、10位中央学院大が続き、11位は東京国際大となっている。(→詳細は こちら )
スタートする各校の選手たち(3日)=須藤菜々子撮影
青学大、順調な滑り出し
4・8キロの芦之湯を選手が通過。先頭の青学大と2位の中大の差は2分7秒に開いた。野村昭夢(4年)が順調な走り出しを見せている。9・0キロの小涌園前では、2分54秒差とさらに開いた。3位の早大と駒大は3分30秒差。駒大も、スタート時より、やや差を広げられた。5位創価大は4分44秒差。
武井隆次さん解説、佐藤圭汰がゲームチェンジャー
7区は12人が当日変更された。往路で2位の中大は1年生の岡田開成を入れてきた。今季はインカレなど前半のトラックシーズンで活躍した、期待のルーキーだ。早大の伊藤大志(4年)はスピードがあり、昨年は往路で使う予定だったが最終的に走れなかった選手だ。駒大は予想通り、故障明けの佐藤圭汰(3年)を入れてきた。出雲と全日本は欠場しているが、駒沢の復路逆転のカギを握る「ゲームチェンジャー」となる。(→詳細は こちら )
全チームがスタート
午前8時10分、往路15位の山梨学院大など7チームが一斉スタート。
6区区間記録保持者の館沢亨次さん「上りとは違った苦しさ」
6区山下りの走り方について、区間記録(96回大会、57分17秒)を持つ東海大ОBの館沢亨次さん「脚を車輪のように回転させてすーっと走る。ストライドよりもピッチ走法で。一歩一歩にあまり体重をかけないほうが、ダメージは少ない。前に倒れる手前で脚が勝手に出るというイメージ。6区は苦しくても(下りで)その意思に関係なく体が勝手に動かされるので、上りとは違った苦しさがある」
往路のタイム差で選手がスタート
午前8時、青学大の 野村昭夢 (4年)がスタート。復路のレースが始まった。続いて1分47秒差で中大の 浦田優斗 (4年)も走り出した。さらに早大の 山崎一吹 (2年)、一昨年の区間賞、駒大の 伊藤蒼唯 (3年)が駆け出した。創価大、3冠へ巻き返しを図る国学院大もスタート。(→詳細は こちら )
駒大・佐藤圭汰は7区
当日のエントリー変更42件が発表された。往路優勝の 青学大 は 9区 と 10区 をそれぞれ 田中悠登 (4年)と、 小河原陽琉 (1年)に変更。 中大 も 7区 に 岡田開成 (1年)を入れるなど2人を変更した。1万メートル27分台の記録を持つ 駒大 の 佐藤圭汰 (3年)は7区に起用された。駒大は9区と10区も変更。3分16秒差からの逆転を狙う。
復路の流れ作る6区に注目
総合優勝争いは、青学大の優位は動かない。原晋監督は昨年の6区で区間2位の野村昭夢(4年)が後続を「30秒離して、あとはピクニックラン」と圧勝の青写真を描く。選手層の厚さを武器に連覇を狙う。追う中大、駒大も6区に実績のある経験者をエントリー。復路の流れを作る6区にまずは注目だ。(→復路展望は こちら )(→青学大「6区で離してあとはピクニックラン」は こちら )(→往路詳報は こちら )(→昨年の復路詳報は こちら )