落ちこぼれの僕が最強精霊と契約してしまった。

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Page 2

結構ありそうでない設定にしたと思います。

人生で初めて書く小説です。

『魔法』と、聞いて何を思う?

不思議な事を起こさせる術、便利な道具

人それぞれ感じる事があるかもしれない。そんな魔法が存在する世界の話。

2000年前、人は自分たちの大切な物を守る為に悪魔と戦った。悪魔は魔法を使い、人は精霊と契約して対抗した。悪魔側は弱り去っていた。

少し時が経って、人は精霊の事を忘れはじめた。人間にとって精霊は道具でしかなかったのだ。使わなくなったら忘れる。ただそれだけでしかなかった。

人々の記憶から、精霊が消え始めた時、魔法が広がりだした。

精霊は噂と伝承、人々の中にある『記憶』で強さが決まる。人の記憶から消えた精霊には、もう何の力も残っていない…

小説書いたり考えたり大変です。

早く国語の力をつけなければ…

Page 3

『絶剣の使い手』

僕は子供の頃にそう呼ばれていた。

僕の剣の届く範囲は絶対領域と呼ばれていてその領域内ならどんな攻撃も通じない事からそう呼ばれていた。

僕の剣の強さは、剣聖にも後れを取らないほどだった。僕はこのまま、剣の腕を上げて、国の騎士団長を目指すつもりだった。

ミッドガルド王国の貴族、デューク家のたぶん六男として生まれた。

曖昧?貴族なんてそんなもんだ。自分に何人兄弟がいるか分からないが僕が一番下って言う事は理解した。

一番下だからって関係ない。

この時代では名誉、金、話術などは必要ない。必要なのは『力』。

そのため兄弟の中で一番強い僕がこの家の跡継ぎとして期待されていた。期待されるのは疲れるがこんな毎日が続くことだと思っていた。

そんな事はなかった。

僕は『魔法』という存在を知った。

それと僕の家は代々優秀な魔術師、魔道騎士を排出していると言う事も知った。

まさか、自分が魔法を使えないとは思ってもいなかった。しかし幾ら練習しても使えない。

最初のうちは何も問題はなかった。

兄達は、魔法を使った上で僕に負けていた。

1年、2年と経つ事に僕と兄達との差は埋まっていった

3年目、僕は初めて兄達に負けた。負けた日から時間が経てば立つ程実力差が出来た。

今までは、僕の方が兄より強かったから魔法が使えなくてもなんの問題も無かった。しかし今は違う。

剣しか使えない落ちこぼれになった。

『絶剣の使い手』

その名は掠れていった。

いつの間にか僕は周りの目ばっかり気にしていた。

「この無能」、「落ちこぼれ」、

そう影で言われてる気がした。

兄達だけではなくメイドにもバカにされている気がして、僕は訓練だけではなく、屋敷でほとんど人前に姿を出さなくなった。

それでも、強くなるために近くの森の人目の付かないところで練習した。

父さんは、良くも悪くも僕には何も言わなかった。

いつもと同じ様に朝早くから森に入った。

入った瞬間気が付いた。森の奥で人が、獣に襲われていると。少しはしったとこに人影を見つけた。遠くからでは分からなかったが、少女が襲われていた。

「面倒くさいな。狼は全部で6頭」

そう呟いて少女と狼の間に割り込んだ。

兄弟に負けたからって昔『絶剣の使い手』と呼ばれていた人間が狼なんかに負けるわけもなく一方的な攻撃になった。狼が全部倒れたことを確認すると、少女は力が抜けたように倒れた。地面に頭を撃つ前に抱きかかえた。

髪は金髪で三つ編みされていてその髪は腰のあたりまであり、整った顔にサファイアのように透き通った青色の瞳をしていた。とにかく可愛かった。後身長は僕と同じ位だから少女のはずだが…大きかった。どことは言わないけど。

「どうしよう。このまま置いていくのもな…」

結局屋敷に連れていくことにした。

今から父さんと話をしてこなければいけない。僕が人前に姿を出さなくなる前から話していないからな…考えてる内に少女を僕のベットに寝かせて父さんがいる書斎に来た。

父さんに今日あったことを伝えた。父さんは僕と喋りたくないのか、うんともすんとも言わずに、用件だけ喋りだした。

「もし、その少女の身分が分からなかった場合、一応奴隷身分になる。その奴隷の所持者はお前だ。後、その子がこの家に住むのであれば、働かせろ。それだけだ」

ここの屋敷で働いているメイドはほとんどが奴隷だ。奴隷って言っても悪い仕打ちをされたりするわけではない。ここの屋敷の場合は、衣食住付の一生雇用みたいな物だ。

働かせろって言われても…

何も思い付かないからメイドでもやらせればいいか。

自分の部屋に戻ると少女が起きていた。

「貴方は誰?後ここはどこ?」

目が覚めたばかりのはずなのに冷静だ。

「僕はラル。ここは、ミッドガルド王国って言う場所のデューク家の屋敷だよ」

聞かれた事を答えたが相手の頭の上には

『?』が浮かんでいた。三第貴族の名前を知らないってことは…

「君は自分が誰で何をしていたのか覚えている?」

少女は少し考える動作をして答えた。

「私はミラ。それ以外は何も思い出せない…

あ、狼に襲われていて誰かに助けられた気がする」

知ってる助けたの僕だもん。

「君を助けたのは僕。記憶がないのなら…

この屋敷で働く?

働いたら衣食住は、守られるだって」

「あ…ぁ、働くので見捨てないで下さい」

今にも泣き出しそうな感じでお願いされた。

それとだいぶお腹が空いているようなので、

僕が人前に姿を見せなくなった後も唯一見せているメイドに朝ご飯二人分とミラの教育を頼んだ。二人分?僕だって朝、人助けしてお腹が空いてるの!

主人公の名前はラルです。

ラルは少し勘違いなどしやすいです。

ミラは、助けられた性なのかラルLOVEです。

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ミラが屋敷に来て一週間位した時に、僕は父さんに呼ばれ、この屋敷の客室に入った。

相変わらず僕に興味がないのか「来たか」とか挨拶もなく話が始まった。

「お前は、この家で生きていくのには向いていない」

この言葉を聞いた時、僕は、悔しくて泣きそうになった。

認めて貰う為だけに毎日努力したが無駄なことだったのかもしれない、そう思った。

「お前が毎日魔法が使えるようになる努力をしている事は知ってるし、剣の腕が上がっている事も知っている。責めて親としてお前が生きていけるために学園に行ってもらう」

絶望しすぎて、何も聞いてないし覚えていない。ただ自分の努力少しが報われた気がした。

部屋を後にして廊下を歩いていた。

僕が落ち込んでるのを見て、ミラが声をかけてきた。

「大丈夫?何かあったの?」

僕が命を救った性なのかよく僕の話し相手になってくれて、唯一の居場所だけどかっこ悪いところなんか見せられない。

「大丈夫。」

そう言って逃げるようにその場から離れた。

この屋敷にいる男は全員ミラに『かっこいい』って言って貰えるように行動している。それはラルも例外ではない。

肝心のミラはラルのベットの匂いを嗅いだり

少し変態だ。

父親に学園に行けと言われた日から数日たった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『・・・・契約・・・』

気がつくと真っ白な世界にいた。手を伸ばせば触れられそうなところにフードを被った人がいた。フードを奥まで被っているせいで顔が見えないがとても悲しそうだった。

「時間がない。もしかしたらこれが最後のチャンスかも・・・」

何を言ってるのかも誰なのかもわからない。ただ心が落ち着くした気がした。

「君は誰?」

名前が知りたかった。しかし意識がそこで途絶えた。

「…ル……て………きて。ラル起きて。」

自分の名前が呼ばれてる。目を開けると、そこには、フリフリメイド服を着た金髪美少女が馬乗りで僕を起こしていた。

シュチュエーションは、全ての男が憧れる朝だ。

いつもは、剣の修行をするために朝早く誰も起きていないような時間に起きる。起こされているって事は…

「やべー。寝過ごした!修行は?あと……ミラ僕はどうすればいい?」

完全にパニックだ。

「落ち着いて下さい。おはようのキスを」

聞かなかった事にして、深呼吸して心を落ち着かせていた。

「まずは、食事をしましょう。その後は…えっと…そういえば、お父様に、ラルの食事が終わったら、連れてこいって言われました。」

あ、そうだった。今日は、学園に向かう日だ。親と会うのもこれで最後だろう。捨てられたと思うと今でも悲しくなってくる。

食事を終え、父がいる書斎の前に来た。

『コンコン』

「父さん、ラルです。」

部屋の向こうから返事があった。

「入って良いよ。」

僕は、小さい頃に一回入って以来この部屋には、入ってない。緊張を落ち着かせながら部屋に入った。

「今日呼んだのは、会うのがこれで最後になるかもしれないからだ。」

理解はしていた。理解していても辛いことはある。

「ただ、最後にラル、お前に伝えたい事がある」

今日の父はいつもの父と雰囲気が違う。

「お前にとって、私は酷い父親だろう。それは、理解してる。だが、これだけは、覚えていてくれ。いずれ、お前を大切にしてくれる仲間が出来る。その仲間を絶対に裏切るな、見捨てるな!

後もう1つ……………信じてくれ。恨まないでくれ」

父親の都合のいい話だと思ったが、今の父親なら信じられる気がした。

父親の最後の言葉を聞き終えて部屋を出ようとした時、

「あ、そうだ!まだ伝えることがあった。ほぼお前の専属メイドになったミラ、あいつも同じ学園に入学させる。少しでも、心の助けがあった方がいいだろう?」

この言葉を最後に部屋を出た。親の本心を少し聞けたからなのか、いつもより体が軽い気がした。

「ラル私も学園行けるんです!めっちゃ楽しみです。」

馬車の中から手を振ってはしゃいでる人は無視して、見送りに来てくれた父親に

「いつか、強くなって父さんをびっくりさせられるようになるよ。後、元気で!」

『いってきます!』

その言葉を最後に馬車は屋敷の領地を去った。

ミラ。

ラルとは同い年です。多分。

屋敷では、多くのメイドが働いているのでミラの仕事はほとんどありません。

そういえば、奴隷制度はあります。

結構、人権が認められているけど…

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今日からオルトロス学園に入学する。毎年優秀な冒険者を卒業させていることで有名だったはず。じゃあ何故父さんは、僕をオルトロス学園に入学させたんだろう。冒険者にさせるため。そうこう考えているうちに

「ラ~ル~見えてきたよ。」

今のミラは、いつものフリフリメイド服ではなく学園の制服を来ている。普通の男なら、その姿を見ただけでもイチコロだろう。耐性の着いたラルも例外ではないが、

今のラルはそれどころかではない。

「やっとやっと(もう限界)」

途中で馬車に酔ってぐったりしているからだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

馬車から降り少したってから歩いて学園に向かった。

学園に入ると本人確認されて、受付の人に案内された。どうやら入学式は、大ホールっていう場所で行うらしい。

『入学式』

地獄のイベント

とうとう来てしまった。ラスボス学園長の話。

ここまでの道のりは長かった。途中睡魔に襲れた。やっとの思いでたどり着いたんだ、後少し耐えるだけなんだ。

「何故君たちはこの学校を選んだ?多分ほとんどの人が冒険者になるためって答えるだろう。この学校の卒業生は優秀な冒険者だ。だから、入学する人は、冒険者志望だ。その人達が優秀な冒険者とてして卒業する。負のスパイラルです。この学校は本来魔術師、魔道騎士を育てる学校だ。頼む魔術師、魔道騎士を目指してください。」

学園長の切実なお願いだった。

入学式が終わりクラスに別れた。ミラとは、一緒のクラスだった。

高難易度クエスト

『友達作り』

自己紹介で自分の番が回ってきた。

人は、第1認証が大切。焦らないように、ミスらないように

深呼吸をして

「僕の名前はラルです。ラーとか気軽に呼んでください」

良くも悪くも失敗しなかった。これなら…

次は、ミラの番だ。自己紹介がミラの番になったらメモ帳を出し始めた奴も出てきた。頼むから変な事言わないでくれ。そんな願いは通らず

「私の名前はミラです。ラルとは、1つ屋根の下で暮らしています。」

言っていることは間違っていないけど…

自己紹介が終わると同時に、クラス全員から睨まれた。そんなこんなで、僕のクエストは失敗に終った。

最悪なことにまだクエストは残ってる。

それは基本この学校では、バディを組んで生活するらしい。それを聞いた瞬間、少し絶望したがまだ何とかなる、そう思っていた。

結局誰一人として組んでくれそうな人が一人も…

周りを見渡していた。

ミラは相変わらずのモテモテだった。皆から誘われている。どこで道を踏み外したのか…

結局ミラが全ての誘いを断って僕のバディになった。

最後に先生がこう言った。

『どんな時も二人一組で生活して下さい』

どんな時も…嘘だろ。寮でもなのか?

『寮は、二人一組です!もちろんバディと一緒です。』

ということで、僕はミラと一緒の部屋らしい

寮につくと

「二人で1つの部屋新婚生活みたい。襲われたらどうしよう」

キャーキャー言ってる奴はほっといて、

部屋はだいぶ大きかった。今日は、いろいろな事があって疲れたし明日も早いので、

「先、風呂入るけど、覗くなよ」

これだけ忠告して風呂に入った。

その後、ベットに転がったら、意識が落ちてしまった。

オルトロス学園

冒険者の町と名高いギルドベルドという町にあります。

この学園では、魔法が使えなくても、全然問題ない。本当は。、魔術師と魔道騎士を育てる学校なのに…

もう冒険者を育てることを意識した授業内容になってしまった。

この学校では、魔法以外の術も教えています。

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「いい朝だ。」

そう言いたかった。昨日の事がなければ。

過ぎてしまった事はどうしようもない。切り替えて

まずは、朝の日課である修行をするか…

僕は、ミラを起こさない様に、ゆっくり部屋から出て、学園周りを走った。

いつも走る場所とは違い新鮮味があったので、結構な距離を走ってしまった。

早く部屋に戻って汗を流さないと、朝食に遅れる。寮では、食堂で食べることが出来、食べる時間が決まっている。

急いでた事もあり、ノックもせずに、部屋にある洗面所の扉を勢いよく開けてしまった。

その先には、

下着姿のミラがいた。ミラは顔を赤くして

「見たいなら、声を掛け…」

第一声が『キャー』じゃなかった。そんな事はどうでもいい。

ドン

「ごめん、ミラ」

慌てて扉を閉めた。

見てしまった。しっかり脳に焼き付かれた。

幾ら耐性があると言ってもアレは…

少ししてから、扉が開いた。僕の方は落ち着いたがミラは今でも顔を赤くさせていた。目を合わせるとお互い顔をそらしてしまい沈黙が続いた。

「早く汗流さないと、朝食に遅れるよ。」

最初に沈黙を破ったのはミラだった。

返事をして、下を向きながら洗面所に向かった。

急いで汗を流し制服に着替え、ミラと食堂に行った。

「よっ、確かラーとミラだっけ?今から飯?」

「誰だっけ?」

青髪でチャラ男ぽっい見た目をしている男が喋り掛けてきた。

後ろに、可愛いではなく美しいが似合う女性がいた。女性の方は黒に近い青髪だった。

誰だっけ?それどころか見覚えもない。

それが態度に出ていたらしく、小声で教えてくれた。

「ラル。あの人達は同じクラスのアレックとシレーナ。昨日自己紹介してたよ。忘れたの?」

忘れてたよ。

何か会話しないと…まずは、挨拶しよう!

「おはよう。アレック、シレーナ」

「俺の事は、アルって呼んでくれ。マイフレンド」

「私は、レーナでいいわ」

このままいけば、友達になれるかも…アルの方にはマイフレンドって呼ばれてるけど。

「ところで一緒にご飯食べない?」

4人で朝食を食べ一緒に教室に向かった。

Page 7

教室に入るのは気が重い。

アルの方はルンルンで教室に入っていったけど。

『師匠、おはようございます』

アルに向かって男子全員が挨拶している。

それにしても、「師匠」ってどういう意味だ?

周りの会話や雰囲気から感じるに、

昨日僕が自己紹介で失敗して落ち込んでる間に、何かあったらしい。

———————————————————

「俺の名はアレック。レックでもアルでも好きに呼んでくれ。だがその前にお前ら男子に一つ言いたいことがある。

このヘタレ!」

「ふざけんなよ。」

「何がヘタレだ!」

かなりのブーイングが出た。そんな事はお構い無しに

「見とけよ。俺は、シレーナさんが好きだ

男子諸君宣戦布告だ。」

レーナは顔色変えるどころかアルを見向きもしなかった。その後、数人が気まずそうに自己紹介してレーナの番になった。

「私はシレーナ。レーナって呼んでくれると…

あと私は、アレックあなたの事が嫌いです」

——————————————————–

アルがレーナに自己紹介告白をした。意味が分からないっていうより前代未聞だ。挙げ句の果てに、振られてるけど。

そういえば、あの二人はバディだったはずだけど…

なんとなく予想はある。どうせアルが

「俺とバディを組んでくれ頼む」

しつこく誘っていて、誰も近寄れなかったんだ。そしてしょうがなく組んでるはずだ。

かわいそうに…

そんな事を思いつつ教室に入った。

僕が入った瞬間クラスの雰囲気が暗くなり、男子の方から、

「許さん、どうして、あいつだけは…」

憎悪の声が大量に聞こえてくる。僕がクラスに馴染むにはまだまだ時間が掛かりそうだ。

チャイムがなった。最初の授業は魔術適性検査だ。

魔術適性検査それは、言葉の通りなんの魔術に適正があるかわかる検査だ。

この学校では、魔術が使えるのは当たり前だったが最近では、魔術を使えない人も入学できるように変わったらしい。変わったと言っても魔術が使えなければ落ちこぼれ確定だ。

分かってはいた、分かってはいたが少しは期待していた…適正がなかった。

入学ルールが変わって初の適正無しらしい。

珍しいのか、僕の名前は一瞬で学園に広まった。『無剣の使い手』として。

ミラの方は僕とは逆でこの学校始まって以来の天才だったらしい。

検査が終わり訓練場に向かう廊下でアル、レーナに出会った。

「やぁマイフレンド」

手を挙げて、アルが僕に話しかけてくる。足を止めて、視線を移す。

「それにしても無剣だっ」

僕に向かってアルが何か言おうとしてたが、視界から消えた。

え?何が起こったの。

「ぐべぇ」

情けない声が下から聞こえた。

目線を落とすとなぜアルが消えたのかわかった。

アルがうつ伏せで倒れてるからだ。原因は探すまでもない。

レーナの足が突き刺さっていた、アルの後頭部に。

がばっとアルの顔が上がった。

「酷いよマイハニー!」

マイハニーが気に入らなかったのか、レーナの額に青筋が浮かび容赦なく頭に蹴り叩き込まれる。アル

目にも止まらぬ速さで壁に激突してめり込んだ。

「さぁ、行きましょう」

冷たい声だった。

「ひっ!」

背筋をゾクリとさせる声に思わず短い悲鳴をあげた。

「ア、アルは…」

恐る恐る尋ねるとレーナはニコリと笑った。笑ったけど心が少しも笑っていなかった。

「あんな男知りません」

結局、二人で訓練場に行くことになった。

さらば、アル。

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訓練場の入り口には、さっき壁にめり込んだはずのアルが手を振って立っている。

「待ってたよ。遅かったじゃん」

レーナさんはアルが見えていないのか、横を素通りしている。そんな様子を見て

(もしかしたら見えてはいけないものが見えてしまった)

そう思い何も反応しないように横を通った。

「お〜い無視しないでくれ」とか言ってるけど

『反応したら駄目だ、反応したら駄目だ』

そう心の中で呟いて訓練所に入った。

その後、アルと合流した。やっぱりさっきのは幽霊だったらしい。

「あのーラル様、アルとの手合わせをお願い受けてもらえませんか?」

「俺はラルとなんか戦いたくないぞ!」

そういえばレーナさんには名前を呼ばれた事なかったけど….

「レーナさん「様」は少し..困ります」

「ではなんとお呼びすれば」

「呼び捨てでいいですよ!」

「俺は様付けでっつぐ!」

ドンッ!

「アル、静かにして」

レーナが我慢できずにアルの顔面に蹴りを入れた。

また何事もなかったかのように会話が始まった。

「呼び捨ては…ラルさん、これからそう呼ばせてもらいます」

僕の呼び方が決まったのはいいが周りが騒がしくなってきた。

「あいつだ。無剣の使い手」「落ちこぼれがなんでいるんだよ」「目障り」など、僕を批判する声が聞こえてくる。そんな中

「言いたいことがあるのなら直接本人に言ったらどうなの!」

燃えるような赤い髪に深紅の瞳の小柄な少女がラル達の方に向かって歩いてくる。

向かってくるのは少女だけてはなかった。

その近くを少女の2倍位の身長に筋肉ムキムキの見た目をした坊主の男が歩きながら言った。

「そうだよな~言いたいことがあるのなら直接本人に言わないと分からないよな~

なら皆、本人に直接言ってやれ!

『お前見たいな魔法が使えない奴は目障りだから消えろ』ってな!」

その男が言った途端に

周りの批判する声が更に大きくなった。

「私はそんなつもりで言ったんじゃない」

すかさず少女は反論した。

「じゃあぁ、どんなつもりなんだ?魔法も使えない落ちこぼれに何を言いたかったんだ?」

「私はただ、ただ……」

「『ただ』なんだ?その先を言わないと分かんないぞ~」

「いい加減黙れよ!」

ついカッとなって言ってしまった。

「誰に向かって言ってんだよガキ。魔法も使えないのに序列13位『双狂』の二つ名で呼ばれるヴァルタ、この俺に喧嘩吹っ掛けてんのか」

一度言ってしまったから戻れない。

「決闘だ!ルールはこの学園のルールに従う。誰か審判(レフェリー)をやってくれる奴いないか?」

「お前本気でやるのか?せっかく逃げるチャンスをあげたのによ~!」

ここで逃げたら恥だ。

「審判なら私がやるわ!」

さっきの赤髪の少女が立候補した。

「ここで練習してる奴らは観客席でこのガキが負ける姿でも見てろ、」

そうヴァルタが言うと全員訓練場から出て観客席の方に向かった。

「ごめんなさい」

「何で君が謝るの?言い出したのは僕だから。僕を庇おうとしてくれてありがとう」

礼は言わないと…

「相手はこの学園の狂犬って呼ばれてる男よ。敵いっこない。今からでも謝れば…」

「謝る?何を言っているの?

僕がこの世で嫌いな人間は『人の優しさを馬鹿にする』そんな人間だ」

少女はその言葉に言い返せなくなっていた。

「わかったわ。もしあなたが負けそうになったらすぐに決闘を中断させるから」

「中断させる必要はないよ。多分負けないから」

そうして決闘の始まりの合図が

『3、2、1、開始』

この学園では、序列が存在します。2年からですけど。

主人公達の年は100人位入学しました。

なぜミラは何処にいるかって?教師達の話相手をしてます。

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冒険者になるにしても、魔術師、魔道騎士になるにしても戦いは避けられないだろう。

悪魔や魔族、魔物だけではなく人同士でも。

故にどの学園にもドーム型の決闘場が存在する。この学園には4つあり、その一つ「第一決闘場」の中心に2つの影がある。その周りで影を見る多くの視線。

噂を聞きつけやってきたこの学園の生徒のもの。 生徒って言ってもほとんどが2、3年生だ。人数はおよそ40人。突然決まった決闘の観客にしては、だいぶ多い。それもそのはず「自主練なんか面倒くさい」そう思っているところに、双狂のヴァルタが「今年入った魔法が使えない落ちこぼれをボコす」って言っているんだ。暇潰しには丁度いいと思って集まった人がほとんどだった。

『あれが無剣の使い手?』

『なんだか弱そう』

『おいおい嘘だろう。魔法が使える俺たちが負ける相手に魔法なし?!』

誰もラルの味方をするものはいなかった。

「本当にやるのか?今なら泣きながら謝れば許してやるぞ」

少し可哀想になったのか、逃げるチャンスを口にした。

「あぁ、やるさ。君のような人間が一番嫌いだから…」

そして決闘の始まりの合図が

『3,2,1,開始』

始まった双狂と無剣の戦いが。

開始の合図と同時にラルはヴァルタに向かって走り一刀を振り落とす。

ヴァルタはその攻撃を大剣で弾き、1発、2発とラルに追撃をいれ攻め入るチャンスをゆるさなかった。ラルは隙き無く飛んでくる剣を防いで、また一歩と少しずつ後ろへと下がっていく。その戦いはまるでライオンに襲われているシマウマがギリギリで逃げ切っているかのように。

『やっぱりあの無剣押されっぱなしだ』

『ギリギリのところで精一杯逃げてるって感じ』

『そうそうにケリがつきそうだ』

予想内の結果に観客がざわめきだした。ただ一人違和感を感じているものがいた。

受け止める事を許さないヴァルタの剣が押し返され始めているからだ。

(何だこのガキ。俺の剣を受け流している!?)

ここで初めてヴァルタがこの決闘で大きく一歩後ろに下がった。

「逃げるのだけは上手いじゃないか〜」

焦りを隠すように言い、相手の心を揺さぶるように挑発した。

「いくらお前が逃げるのが上手かろうがお前の剣は俺には通じない!」

「そんな事はないさ、やってみないとねっ!」

そう言うとラルは地を蹴った。

戦いの風向きがかわった。

そのことに観客は言葉を失った。滅多なことが無い限り褒めないヴァルタが褒めた。それすなわちヴァルタが認めた事を意味する。それどころか認めたどころではなかった攻撃すればするほどなめらかに攻撃を返して反撃。

環境に慣れたシマウマは進化してライオンを襲う。もはや恐怖でしかない。そんな現象が目の前で起こっているのだから。

ヴァルタが上から下に振り下げた大剣をラルが大きく横に弾き、ガラ空きの銅を薙ぎ払った。

そしてライオンはシマウマに負けた。誰もがそう思った。

双狂のヴァルタ

バディで恐れられてる『双』

始めて書くバトルシーン難しかった

Page 10

「キィーンっ!」

会場に鋭い音が響いた。

『まさか、無剣の奴が勝ったのか?!』

『俺たちは夢を見ているんじゃないか?』

そんな中一人の生徒が指を指しながら言った。

『おい、あれを見ろ!』

観客の視線が一斉にラルが持つ剣に集まった。よく見るとヴァルタの体10cm位のところで透明な壁のようなものに剣が止められている。その瞬間気づいた『魔法障壁』だと。

魔法障壁は物理攻撃を緩和する位の力しかないが、それはお互いが身体強化してる場合、ラルの場合は、身体強化していないから、攻撃が魔法障壁を破る事が出来ない。

今思えば、始めからヴァルタは身体強化しているように見えなかった。

「やっぱり手を抜いていたんだ…」

「当たり前だろう。魔法が使えない奴を魔法でいたぶってもつまらない。

ならどうすれば面白いか考えた。魔法が使えない奴に残ってるのは自慢の剣術だ。

剣しか使えない奴を剣で倒す、これほど楽しいものはない。そうだと思わないかい?」

クズだ。相手の心を折ることを楽しんでいる。

「だが俺は剣でお前に勝てない。褒めてやるよ、剣の天才。ここからは手加減無しだ

本気でいかせてもらう」

(やることは一つだ。魔力は無限じゃない、有限だ。ならどうする?簡単だ。魔力がきれた瞬間を狙う。)

ラルは地を蹴りヴァルタに迫り、剣を振るった。ラルが振った剣はヴァルタの首に届く寸前で「カンッ」と音を立てて動きを止めた。理由は簡単だ。ラルが振り切るよりも早くヴァルタが己の受け身をとったからである。

「くっ…」

相手の剣を振り解こうと全力で力を込めたがピクリともしない。

「どうした?剣の天才よー!こっちからいかせてもらうぜ」

そう言って不気味な笑みを浮かべたヴァルタは一瞬にして姿を消した。四方八方見渡したが見つからなかった。

(あんな巨体を見逃すはずがない。)

つまり…上!

「フッ」

「ッ…!?」

気づいたときには遅かった。ネズミを見つけた蛇のように真上から流星の如き速さで落ちてくる剣がラルの体めがけて振られた。

「負けた」

迫り来る剣が怖くて目を瞑ってしまった。

しかし不思議なことにいつまでたっても痛みを感じなかった。

目を開けるとそこには目の前で大剣を止めているヴァルタの姿が目に入った。ヴァルタだけじゃない観客も全て…

スローだ。

突然夢の中で聞いた声と同じ声が聞こえた。

「今は時間が無い」

あたりを見渡しても誰もいない。

「私を感じて」

私って言っているから女だと思うけど…

彼女が言う前から、胸の真ん中あたりから特別な、なにかを感じていた。

そのなにかは呼吸と同時に体全体に広がった。

いつの間にかスローモーションの世界で僕は動けるようになっていた。

落ちてくる剣をゆっくり避け、ヴァルタの体に反撃した。

10cmのところで透明な壁を感じたが、紙を切るかのように簡単に斬れた。

観客はもう誰も喋っていない。ただ試合の行く末を見守るだけだった。

「バタッ」

静かな会場に音が響く。決着がついた。

「しょ、勝者ラル!」

審判がバトル終了の合図をだした。それと同時に歓声が会場を包んだ。

Page 11

「・・・ん?」

目が覚めるとベットの中にいた。どうやらここは医務室のようで薬品臭い。

部屋は少し薄暗く、赤い光が入ってきていた。

全身が痛い。少し動かすと痛みが全体に通達される。

「そういえばなんでここにいるんだっけ?」

混乱している。

たしか、負けそうになったところで…

声が聞こえて勝ったんだ。そして気がついたらここにいた。

少し落ち着いて頭の整理ができたことで違和感を感じた。

それは、今自分が入っている布団に自分以外の膨らみがあるからだ。

どこかで見たことあるシチュエーションだ。それは歴代の英雄の日記にあったシチュエーションにそっくりだ。布団をめくったら美女が…なんて。そんな妄想をしながらめくった。

現実は甘くなかった。

「やぁ、お目覚めかマイフレンド」

素早くラルは布団を閉じた。って閉じてる場合じゃない!!

「出てけアルッ!」

「調子はどぐえっ!」

ビックリしすぎて蹴り飛ばしてしまった。音を聞きつけミラ達が来た。

「ラ〜ル〜心配したんだよ」

ミラが泣きながら飛びついて来た。

「痛え〜!」

「あ、ごめん」

抱きつかれるのは嬉しいが、あまりの痛さに口から出てしまった。

「調子はどうですか?」

ミラが来た後ろの方からレーナさんが歩きながら訪ねてくる。

「全身筋肉痛ですけど大丈夫そうです。」

「なら良かった」と言いながらさっきラルが蹴り飛ばしたアルの上に乗った。

「グゥ痛い痛い、重い!」

アルは言った。女性に対してのタブーを。

空気が冷たくなった。

「重い?!さぁ、表に行きましょう、、ア、、、ル」

アルを引きずりながら部屋から出ていった。

途中「た、たすけてくれマイフレンド頼む」とか言っていたけど

言ってはいけない事を言ったアルが悪い、だからラルは無視をすると心に決めた。

パンパン

「盛り上がってるとこ悪いけどもう遅いから帰った。早く帰らないと夕飯逃すよ。」

白衣を着た女性が手を叩きながら来た。多分医務室の先生だろう。

夕食を逃すような時間じゃないはずだけど…

そう思い外を見ると真っ暗だった。

「もうそんな時間なんですか?」

「そうよ、後20分で食堂が閉じるわ」

まずい、夕飯を逃したら朝まで何も食べれない。売店に行けばいいって?あそこは高いから無理。

「痛ててっ!」

夕飯の事に頭を支配されて忘れてた。体が筋肉痛でまともに歩けないことを。

「大丈夫?無理しないで。私が肩貸してあげるから」

ミラに肩を貸してもらい、食堂まで向かった。途中首にチクリとした痛みがしたが

虫に刺されたと思い、気にせず行った。

光が届かない部屋に2つの影がある。

一つはメイド服を着た可憐な少女。そしてもう一つは、艷やかな漆黒の髪を、腰の下までなびかせた女性の影だった。彼女はこの学園の最高責任者。つまり学園長だ。魔法世界では知らない人はいないと言われているほど優れた魔力と才能を持ち合わせており、若くして学園長にまでのし上がった天才だ。

「あの距離で気づくなんて、さすがですね」

メイド服を着た少女が話をふる。

「そんな事はどうでもいいの。貴方なら感じる事ができたでしょ」

「えぇ感じました」

メイド服の少女が肯定した。

「去年は優秀な魔術師ばっかでアタリ無し、今年は大アタリが1ペアだけだと思ったけど

まさか、あんなところにいたとは、決闘を見てて良かった」

「学園長、貴方が仕事を抜け出している間大変だったんですよ」

「でもいいじゃない!お宝を掘り上げたんだから」

「駄目です。私一人だとほとんど仕事が終わりませんでした」

そう言うと、机に大量の紙を置いた。

学園長と呼ばれた女性はその紙の量を見て、顔を真っ青にさせながらメイド服の少女に聞いた。

「ねぇサラ。も、もしかしてこの量今日中に終わらせないといけないの?」

「そうですよ、さぁ頑張ってください学園長」

メイドの少女(サラ)に言われるよりも早く走る動作に入った。

「無理!!後は頼んだ」

そう言い残し、部屋から消えていた。

「あ、逃げるなー!」

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