■第101回東京箱根間往復大学駅伝競走・復路(3日 神奈川・芦ノ湖~ 東京・大手町 5区間、109.6キロ) 青山学院大が盤石のタスキリレーで2年連続8度目の総合優勝を飾った。前日は山登りの5区で逆転し、7度目の往路Vを達成。復路では1度もトップを譲らず、昨年マークした大会新記録(10時間41分25秒)をさらに更新する10時間41分19秒(速報値)で栄冠を手にした。 6区でいきなり野村昭夢(4年)が史上初となる56分台(56分47秒)の区間新を叩き出すと、8区の塩出翔太(3年)が2年連続区間賞の快走で後続との差を大きく広げた。9区で当日メンバー変更の主将・田中悠登(4年)、10区の1年生・小河原陽琉がリードを死守し、大観衆が見守る大手町のフィニッシュテープを切った。 原晋監督(57)がゴールの大手町で選手と笑顔で会いたいと思い命名した「あいたいね大作戦」を見事に遂行させた。 この日、スタート時の気温は1℃の箱根。標高874mから一気に下る6区(20.8㎞)に2年連続で野村昭夢(4年)を起用。2位中央大と1分47秒差でスタートし、野村は序盤から快走。区間新記録ペースでラップを刻み続け独走状態に。18㎞付近で監督車が後ろに付き原監督が「大記録だよ!大記録だよ」と声をかける場面も。 残り1㎞で原監督から「すっごい記録が出るよ」と背中を押されると、“山下りのスペシャリスト”野村は最後までスピードを落とさず。20年の舘澤享次(東海大)が出した区間記録(57分17秒)を大幅に上回り、56分47秒の驚異的な区間新記録でタスキを渡した。2位は3分49秒差で中央、3位は4分8秒差で駒沢、4位は4分28秒差で早稲田と続いた。
7区(21.3㎞)の青学は、初めての箱根駅伝に挑む白石光星(4年)が自分のペースで走り続けた。2位争いは駒沢のエース・佐藤圭汰(3年)が、ケガからの復帰となった10か月ぶりのレースでもブランクを感じさせない走り。中央の1年生・岡田を4.8㎞付近でとらえた。その後突き離し、快走を続けた佐藤は区間新記録となる1時間00分43秒をマーク。青学と駒沢との差は1分40秒に縮まった。 差を詰められた青学大だが、8区(21.4㎞)で昨年も区間賞を獲得した塩出翔太(3年)が着実な走りで、2位駒沢との差を徐々に広げていった。給水では前日2区を走った黒田朝日(3年)から水を受け取り、さらに力をもらう。塩出は粘りの走りで2年連続区間賞でトップをキープ。当日変更のキャプテン・田中へタスキを渡した。2位には1分56秒差で駒沢、3位には6分34秒差で早稲田となった。 9区(23.1㎞)は、箱根駅伝“ラストラン”、卒業後はアナウンサーになる田中は箱根路を踏みしめるようにストライドを伸ばし、10㎞付近で給水を受けると笑顔を見せる余裕も。さらに14.7㎞付近の給水では4年間苦楽を共にした片山宗哉(4年)と“乾杯するしぐさ”も見せて、再び気合を入れなおした。 残り1㎞で原監督は「大手町で笑うよ!」と声をかけると田中も笑顔で応え、そのままトップを維持し、アンカーの1年生・小河原陽琉に最後のタスキリレー。2位の駒沢とは2分21秒差で大手町への向かった。 10区(23㎞)は原監督が指揮を執るようになって初めて1年生アンカーとして起用された小河原。先輩たちが繋いできたタスキを力強い走りで運び、13㎞付近では2位駒沢に2分56秒差をつける快走。原監督は「総合新記録を出そう!」とゲキ。仲間の待つフィニッシュ地点に向かう小河原は、ゴールテープを切ると先輩方に飛び込んでいった。 青山学院大は2年連続8度目の総合優勝。復路はトップを1度も譲らず完全V。原監督が大手町で笑顔で会いたいと思い命名した「あいたいね大作戦」は見事に完遂された。
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